- 奈良時代に病気等、悪いことから身を守るおまじないの一つに紙や草木などで人の形をしたものを作り、これで体を撫でて病気や災いを移し、川に流す儀式がありました。
これが「流しびな」という風習になり、おひなさまの先祖になったといわれています。
ひな菊・ひなげしなど「ひな」と付くものは可愛いものばかりですが、平安時代に貴族のお姫様たちの間でお人形遊び「ひいな遊び」(ひいなはひなの古語)が大流行しました。
きっと可愛い人形だったんでしょう。現代のおひなさまは奈良時代の「おまじないの儀式」と平安時代の「ひいな遊び」が長い間に結びついて生まれたものです。
おひなさまは「流しびな」でもわかるように、ひとりひとりの厄災を身代わる風習を引き継ぐものです。
今風に言えば、おひなさまはマンツーマンで女性を守ってくれる「一生のお守り」なのです。
たとえ家族であろうと共有したり引き継いだりするものではありません。
- 一般的には母方の実家から贈られていたものですが、今では、両家で折半するなど様々です。
購入は、お正月明け早々から2月中旬までには済ませて、ひな祭りの10日前には、飾れるようにするのが理想的です。
ひな祭りの前日になって慌てて飾ることは、「一夜飾り」といって昔から縁起が悪いとされていますので避けましょう。
早めに飾ってお家に訪ねてきた方々と共にお子様の健やかな成長をお祝いしながら楽しむのがベストです。
- おひなさまはいつしまうのか?
ひな祭りが終わった後、なるべく早くしまうとされていますが、天気がよく、空気が乾いている日を選んでおしまいください。
天気の悪い日は、湿気を含んでおりカビや虫食いの原因になります。 早くしまわないと婚期が遅れるなどと言い伝えられていますが、特に根拠はないので気にする必要はありません。
それより長い年月飾る人形ですから、しまい方(保存状態)が重要です。
ひな人形の片づけに必要な道具は?
◎毛ばたき ・・・ホコリを払うとき使います。
◎柔らかい紙・・・お人形の顔を包みます。
◎乾いた布・・・塗りの部分の乾ぶきに使います。
◎うす紙・・・おひなさまが動かないように、隙間に柔らかく丸めて詰めます。
◎防虫剤・・・お人形、ぼんぼり、桜橘に入れます。
※人形の素材に配慮された防虫剤“いたわり”が最適です。
一般のお客様はお近くのチェーン加盟店よりご購入頂けます。
※違う種類の防虫剤を混ぜないでください。化学変化を起こします。(
例/ナフタリンと樟脳)
また、毎年同じ防虫剤を使用するようにしてください。
- 意外と知られていませんが、ひな飾りにはやってはいけないことがあります。
ひな人形の由来でも触れましたが、「おひなさま」はひとりひとりの災厄を身代わる風習を引き継いだものです。
ですから、ひな飾りを姉妹で共有したり、親から子へ譲ることは厄除けという本来の姿から外れ、逆に災いを共有したり、引き継がせることにもなりかねません。
「おひなさま」はマンツーマンで女性を守ってくれる「一生のお守り」であることを覚えておいてください。
また、これは補足ですが、ひな人形はお子さんが実際に手を触れてその子の災厄を移すものです。ですから分別が分かる年齢になったら親子で一緒に飾ったり、仕舞ったりしてください。
その中で、物を大切にする心や、送り主である祖父母や両親に感謝する気持ちや、家族の絆を教えていただきたいと思います。人形を壊したり、汚したりしても、それはお子さんの災厄をひな人形に肩代わりしてもらったと考え、お子さんを叱ったりしないでください。
きれいなままの「ひな人形」は実はちょっとかわいそうな「ひな人形」なんです。
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